薄膜Liイオン電池材料物質の表面および界面の解析
スマートフォンやタブレットなどの携帯型電子機器の普及に伴い、より小さく、より高効率のエネルギー貯蔵材料の開発の必要性が高まっています。リチウム陽イオンが電荷を運ぶ役割を担い、電池使用時には陽極へと移動し、充電時にはその方向を転換するリチウムイオン電池の使用は、1973年に初めて提唱されました。本技術は1991年に商品化され、 以来、家電用途の電池材料としてニッケル水素電池からその座を奪ってきました。さらに最近では、リチウムイオン電池は大型自動車や航空宇宙の用途においても、鉛酸蓄電池に取って代わっています。
従来のリチウムイオン電池は液体電解質に依存していま すが、多くの開発が行われ、液体電解質が固体の薄膜に置き換えられてきました。薄膜Liイオン電池は、一般的な液体電 解質の電池と比べてより高い平均出力電圧、その軽量性によるより高いエネルギー密度、より長寿命のサイクル寿命を実現し、向上した性能を提供しています。薄膜電池の組み立てには、陽極、固体電解質、陰極、および電流リードのすべての電池部品を多層薄膜の中に作らなければなりません。リン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)はその電子伝導率 の低さ、より高いサイクル耐久性、準備のしやすさから固体の超小型電池に広く用いられています。しかしながら、 LiPONの普及にも関わらず、窒素結合とリチウムの可動性についてはまだよく解明されていません。
今回、従来からの表面分析技術である X 線光電子分光法 (XPS)およびスパッタデプスプロファイリングを使用して、 原子層堆積法(ALD)によって形成されたLiPON 膜の表面およびバルクの化学的特性を確認しました 。XPSにより、10 nm 未満の深さまでの表面に近い領域の元素組成についての定量情報を得ました。深さに応じた元素組成を探査し、従来のモノアトミックデプスプロファイリングとクラスターデプスプロ ファイリングから得られた結果を比較しました。
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